通信制高校の転入時期や入学タイミングはいつがベストなのか知っていますか?
実は、転入に関しては、基本的にいつでも申し込みが可能となっています。入学タイミングもしようと思えばすぐできるのが現状です。
しかし、単位引継ぎの関係で、学年ごとに注意するべきこともあります。
転入の際は必要な書類を揃えなくてはいけません。在籍している学校にお願いしなくてはいけないこともあるので早めの行動が必要です。
この記事では、詳しく転入時期や入学のタイミングを説明しています。また、通信制高校の選び方ポイントを紹介しているので最後までご覧ください。
通信制高校への転入時期について
「通信制高校にいざ転入することを決めた!」はいいけれど、「転入の時期はいつにすればいいんだろう?」
そんな疑問が多いのが現状です。
通信制高校は全日制高校や定時制高校とは違った特殊な高校と言えます。
これから通信制高校への転入を希望する人は、この記事を最後までチェックしましょう。
通信制高校はどのタイミングでも転入を受け付けている
実際のところ、基本的に通信制高校ではどのタイミングでも転入を受け付けています。
「そんなこと可能なの?」と思う人も少なくないかもしれません。通常であれば、4月に入学するのではと思いがちですが、そんなことはありません。
なぜ、いつでも転入できるかというと、通信制高校の生徒の性質によるからです。
通信制高校には不登校の経験をもっている方が多いと言われています。学校に馴染めないなどの理由で、家に引きこもっていた生徒が違う学校に転入しようと思う学校がこの通信制高校です。
なので、基本的に困ったときに生徒を受け入れられる状態が、転入をいつでも受け入れ可能にしているということになります。
主な通信制高校の転入・編入時期
基本的に通信制高校では転入がいつでも可能と言いましたが、厳密にいうと学校によって規則が違います。
なので、転入を検討する際は必ず各学校の案内を参照するようにしてください。
ちなみに、転入の他に”編入”という言葉があります。よく混合して使いがちですがこちらは全くもって違う意味を持ちます。意味は下記の通りです。
そもそも転入と編入の違いは?
- 転入=転校と同じ。単位を引き継げるメリットがある
- 編入=すでに中退した生徒が別の学校に行くこと。
では、主な通信制高校の転入・編入時期について表で紹介します。
学校 | 転入 | 編入 |
---|---|---|
トライ式高等学院 | 随時 | 随時 |
飛鳥未来高等学校 | 随時 | 随時 |
一ツ葉高等学校 | 随時 | 4月、10月 |
N高等学校 | 随時 | 4月、7月、10月、1月 |
S高等学校 | 随時 | 4月、7月、10月、1月 |
ルネサンス豊田高等学校 | 随時 | 4月、10月 |
ルネサンス大阪高等学校 | 随時 | 4月、10月 |
勇志国際高等学校 | 随時 | 随時 |
ECC学園高等学校 | 随時 | 4月、10月 |
クラーク記念国際高等学校 | 4月~12月 | 4月 |
上記の表からわかる通り、転入に関しては多くの学校で随時受け付けているところが多いことがわかります。
また、編入に関しては4月に受け付けるところが多い印象です。もしくは10月など様々です。学校によって違いがあるのがわかったと思います。
転入・編入の際は必ず、各学校の資料請求を行うことや、説明相談会に出席するようにしましょう。
通信制高校への転入に要する入試と手続き
通信制高校の転入時期について詳しく知ることができました。
ですが、転入時期以外にも知らなければいけないことがあります。次は転入・編入に必要な手続きや入試関係についてです。
- 入試はどのような形式を取るのか?
- 必要な書類と手続きは何か?
- 卒業までにかかる費用はいくらか?
この3点については事前に知っておく必要があります。転入する際に、「これは知らなかった!」ということがないようにしましょう。
転入・編入の入試は書類審査と面接が基本
通信制高校の転入・編入の入試は基本、書類審査と面接を行います。
通信制高校には、境遇が様々な方がいらっしゃいます。その中には不登校で、中々学校に通えない。集団生活が苦手、もしくは学校の勉強についていけない。などです。また、普段仕事をしている方もいらっしゃいます。
なので、通信制高校では、筆記試験で成績がいい人を取るということはありません。(中には簡単な筆記試験を行う学校もあるので注意しましょう。)なので、内申点が悪いから、自分は学校に行けないと思う必要はありません。
中でも、面接は入試の中で重要視されている部分です。筆記試験がない分、面接で受験者がどのような人なのかを見られるでしょう。
面接内容はシンプルなものが多いです。例えば、主な志望動機、やる気はあるのか、高校でに転入して頑張っていけるのかを判断しているので、面接にはしっかり準備をして、力を入れましょう。
転入・編入に必要な書類と手続き
転入と編入の際には必要な書類を用意・提出しなくてはいけません。こちらは学校から頂くものや、通信制高校から出されている願書が含まれます。
そして、手続きの順序があるので、流れに沿って理解していきましょう。
通信制高校の転入と編入の流れは以下の通りです。
- 願書を取り寄せる
- 必要書類の作成
- 在籍する(または在籍していた)高校に必要書類の発行を依頼
a.受験料の振り込み
b.入学願書等の作成
c.必要書類を通信制高校へ郵送
- 書類審査・面接・学力試験
- 合否判定
- 入学手続き
“①願書を取り寄せる”の願書は通信制高校の資料請求した際に、同封されている場合がほとんどです。資料請求は各学校Webサイトから申し込みができます。
次に必要書類についての説明です。大まかな必要書類は以下の通りです。
作成する人 | 作成する書類 |
---|---|
自分 | 入学願書
作文(学校による) |
在籍する高校 | 成績・単位修得証明書
生徒の転学について(照会) ・在籍証明書 |
その他 | 証明写真(学校によっては複数枚)
受験料の振込み証明書 健康診断書(学校による) |
作成する人 | 作成する書類 |
---|---|
自分 | 入学願書
作文(学校による) |
在籍していた高校 | 成績・単位修得証明書
在籍証明書 |
その他 | 証明写真(学校によっては複数枚)
受験料の振込み証明書 健康診断書(学校による) |
在籍した学校でもらえる成績・単位証明書や在籍証明書は、多少の作成日数が掛かることがほとんどです。
早急に欲しいと言っても、すぐにもらえるものではありません。作成をお願いするなら、計画的に転入の時期を決めてから、担任に相談をしないといけません。
転入・編入から卒業までにかかる費用
最後に転入・編入から卒業までにかかる費用について説明します。
まず、公立と私立の通信制高校では費用が圧倒的に違うことを頭に入れておきましょう。これは全日制学校でも見られることです。
公立では年間3~6万円程度、私立ではなんと年間20万円以上かかると言われています。
通信制高校の費用で全日制高校との大きな違いは、”1単位ずつに授業料がかかる”という点です。
これは、通信制高校が単位制をとっているからです。卒業必須単位は74単位になります。なので、転入して必要な単位数によって授業料が必要になりますので注意しましょう。
では、内訳は具体的にどのようになっているのでしょうか?以下が大体の費用を算出したものです。
公立校 | 私立校 | |
---|---|---|
受験料 | 1,000~2,000円 | 10,000~20,000円 |
入学金 | 500円 | 20,000~50,000円 |
授業料 | 年間10,000~30,000円
1単位授業料 300~1,000円 |
年間150,000円~
1単位授業料 5,000~12,000円 |
合計 | 30,000~60,000円 | 210,000円~ |
上の表は年間の費用になりますので、もし高校1年生で転入した場合、単純計算をして3倍にすると、卒業までに公立で9~18万円、私立で60万円以上かかることになります。
また、表の項目以外に、教材費などの費用が掛かることが想定できます。
あくまでも、以上の説明は目安になりますので、各学校のホームページや学校案内資料を詳しくチェックしましょう。
【学年別】通信制高校へ転入する場合の注意点
通信制高校へ転入する際は、何年次に転入するかや時期について注意点があります。特に単位数引き継ぎの観点と卒業時期の観点で注意するべきポイントが存在します。
まず、転入の際の大きなポイントは以下の通りです
- 転入の際は単位を引き継げる(ただし、学年途中の単位は引き継げない)
- 通信制高校卒業には74単位以上の取得が必要
- 1年間で取得できる単位の上限は34単位
- 取得単位が0~5単位→1年次への転入
- 取得単位が6~39単位→2年次への転入
- 取得単位が40単位以上→3年次へ転入
通信制高校の仕組みは複雑に見えますが、上記のポイントを押さえていれば大丈夫です。
最後まで目を通して、転入する時期についてより考えるようにしましょう。
高1で転入する場合
高1で転入する場合、高1のどのタイミングで通信制高校へ転入するかが重要になります。
転入時には単位を引き継げるのがメリットでしたが、高1の学年途中だと、現在の単位は引き継げなくなります。それは大体の全日制高校が1年ごとの単位取得を可能とする学年制を取っているからです。
なので、通信制高校へ転入した際は、どの時期でも0からのスタートになってしまうということです。
単位をなるべく引き継ぎたい方は、学期途中ではなく、学年が終了して単位が確定してからの方が良いでしょう。単位確定時期は担任の先生に聞くと良いでしょう。大体は3学期の学年末試験が終わってから算出されます。
高2で転入する場合
高2で転入する場合も、高1と同じく単位を引き継げるかできないかがポイントになります。また、卒業時期の変動が関わってきます。
高2途中での転入も高1同様に、その学期の単位は引き継ぐことができません。
高2で転入する場合、確定して引き継げる単位数は高1で取得したものとなります。
取得単位数が7~39単位の場合は通信制高校2年生からスタートできます。
もし、転入前に7以下の単位取得だと自動的に高1からスタートになってしまうので、卒業時期が同級生とズレてきます。
同級生と同じタイミングで卒業をしたい場合は、単位の取得数は大きく関わってくるということです。
高3で転入する場合
高3で転入する場合は、高1,2の単位取得状況によって卒業時期が決まるのが注意点です。
取得単位が40単位以上で高3へ転入できるので、同級生と同じタイミングで卒業したい方は、40単位は取得していないといけません。
学校によっては10月、11月で高3の転入受付を締め切る場所もあります。これは、卒業までにやらなければいけない課題が与えられる関係で、年始後に転入しても達成するのは難しいと考えるからです。
高3は基本的には2学期の初めまでには転入しておくと、スムーズに学校生活をおくれるでしょう。
転学する通信制高校の選び方!3つのポイント
最後に、転学する際に気になる通信制高校の選び方についてご紹介します。
通信制高校は様々な校風を持っているところが多いです。実は全日制高校よりも特色が強いと言われています。
全日制高校を選ぶ際にも多くの時間と労力がかかったと思います。通信制高校はそれ以上を覚悟しないといけません。
しかしながら、今から紹介する3つのポイントを中心に考えると、自分たちにとって理想の通信制高校が見つかりやすい思います。
以下がポイントです。
- 不登校生徒をサポートしてくれるカウンセラーがいるか
- 専門的な科目を学べる高校であるか
- 進学・就職に強い高校であるか
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
①不登校生徒をサポートしてくれるカウンセラーがいるか
学校選びの、一つ目のポイントは”不登校生徒をサポートしてくれるカウンセラーがいるか”です。
不登校の問題を抱えて通信制高校に転入する場合、学校を変えたからと言って問題が解決したとは言えないでしょう。子供に対するケアは継続して必要なケースが多いです。
通信制高校ではスクールカウンセラーなどのサポートを手厚くしてくれる学校があります。カウンセラーは心に悩みがある生徒や不登校になった生徒とカウンセリングして問題を解決する役割です。
カウンセラーは話を聞くということに長けているので、不登校生徒とのコミュニケーションに非常にうまく行えます。生徒の悩みを自然に打ち明けやすい環境にしてくれるので解決のためには不可欠です。
例えば、週に1回のスクーリングをして、その際にカウンセリングしてもらえたり、家庭訪問を頻繁に行ってくれる学校もあります。
将来的には不登校の問題を解決した方がいい
なぜ、違う学校に転入したのに、不登校の問題を解決しなくてはいけないのでしょうか。それは、将来的に考えると子供の為になるからです。
将来、自立して社会に出ることが一つの目標だと思います。その際、子供が問題なく周りの人と馴染んだり、コミュニケーションを取ったり、多少のストレスには耐えなくてはいけない時があると思います。
特に不登校の問題が”対人にかかわるようなこと”の場合、集団の中で生活するのが難しい、対人関係でトラウマがあるなどの状況は将来的にそれが再発してしまうかもしれません。
対人関係が原因の不登校以外にも、なるべく根本的な原因を解決してあげた方が、後々子供の為になることは明白です。
高校生までは、学校でカウンセラーなどが無償で対応してくれる素晴らしい環境です。卒業以降は自分たちでカウンセラーに通うなどしなくてはいけなくなるので、それを考えると高校生の内に解決しようと試みた方が良いでしょう。
②専門的な科目を学べる高校であるか
学校選びの、二つ目のポイントは”専門的な科目を学べる高校であるか”です。
通信制高校には、通常の授業(国数英理社)を学ぶ以外に専門的な科目を学ぶことができます。学校によって専門性は様々です。例えば、アニメ・マンガ、食、IT関連、スポーツなどがあります。
専門的な科目を学ぶと、生徒自身が楽しめるだけではなく、卒業後の進路に役立つという点もあります。卒業後に専門学校に行きたい場合は全日制高校と比べるとスムーズに進路が決まる可能性もあります。
また、学校で習得したスキルは、いざ働くときにも役に立つでしょう。
通信制高校は自分の好きなことを学べる場所
専門的な科目を学べることから、通信制高校は“好きなこと”が学べる場所と言えるでしょう。
“通信制高校は不登校の生徒が行く場所”というマイナスの印象が多いのが現実ですが、好きなことを学べるという大きなメリットがあります。
中には、高校進学の段階で全日制高校を選ばずに、自ら通信制高校を選択する生徒も近年では増えるぐらいです。
自分の好きなことを学んで、それが将来役に立ったり、仕事につながったりするなんて素敵なことです。通信制高校に転入するか迷っている方は、様々な学校を調べてみて、自分の好きなことを学べる場所を探すといいです。
③進学・就職に強い高校であるか
学校選びの、三つ目のポイントは”進学・就職に強い高校であるか”です。
通信制高校には大学進学に向けて力を入れている学校があります。通常クラスの他に、進学コースや受験コースなどがある学校は進学に強い学校と言えるでしょう。
進学コースなどには、受験専門の先生がいたり、教えるレベルが高いことが多いです。通信制高校の強みである個別授業が行われるので、自分のペースにあわせて学習もできます。
学校によっては、学習プランを一人ずつ考えてくれる学校もあるなど、全日制高校よりも手厚い指導を行ってくれることも期待できます。
通信制高校を卒業して就職・就学する生徒は多い
実際に通信制高校を卒業して就職・就学する生徒は多いのも現状です。
例えば、通信制高校には不登校生徒が多いのが現実ですが、不登校経験者が就学・就業した人はどのくらいいるのでしょうか?
「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版)では、中3時点で不登校だった生徒に対して5年後にどのくらい就学・就業したか調査しています。
就学・就業状況 | 就業のみ 34.5%
就学のみ 27.8% 就学・就業 19.6% 非就学・非就業18.1% *非就学・非就業には専業主婦・主夫も含まれています |
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就学先 | 大学・短大・高専 22.8%、
高等学校 9.0% 専門学校・各種学校等 14.9% |
就業状況 | 正社員 9.3%
パート・アルバイト32.2% 家業手伝い3.3% 会社経営 3.4% |
上記の通り、就学・就業をしている人の割合は約80%です。
一概には言えませんが、通信制高校に流入してきた生徒もこのように進学・就職をする方が多いです。
これは、進学コースや専門的な科目を学んでそれを仕事に生かせているからでしょう。
【まとめ】中学不登校生がこれからすべきこと
いかがでしたか?通信制高校への転入時期や学校の選び方を紹介しました。
転入時期は多くの学校で随時受け付けています。なので、転入を考えているなら、すぐに行動できるのが利点です。また、編入に関しては時期が年3回しかないなどの指定があるので気を付けましょう。
入学の際は面接試験が大半を占めるので、「なぜその学校に行きたいのか?」や「どのようなことを学びたいか?」について整理すると良いでしょう。
通信制高校は学校によって特色が様々です。なので、やみくもに探しても自分に合う場所を見つけるのは大変です。
学校は、生徒へのサポート体制が充実している、専門的なことを学べる、進学・就職に力を入れているかの3点に絞る見つかりやすいです。
最後に、通信制高校は資料を請求したり、相談会に足を運ぶ、公式HPを見ると学校の様子がよくわかります。まずは、気になるとこを調べてみましょう。