通信制高校にも公立と私立があります。公立の通信制高校は学費がかなり安いことが特徴で、年間5万円程度。一方私立通信制は年間25万円〜程度かかりはしますが、手厚いフォローアップが強みです。公立の卒業率が40%なのに対し、私立の中には100%に近い卒業率を達成している学校もあります。公立と私立、それぞれには特徴があるので、その違いを見ていきましょう。
通信制高校の公立と私立の違いは?
公立と私立の違いをわかりやすく比較できるよう表にまとめました。
私立 | 公立 | |
---|---|---|
学費 | ○ 25万円〜(1年あたり) ※公立全日制と変わらない学費の学校もある |
◎ 5万円程度(1年あたり) |
指導・フォロー | ◎ ひとりひとりの事情に合わせたきめ細やかな対応が期待できる | △ 先生の数が限られ、私立よりはどうしても劣りがち |
専門的な学習 | ◎ 学校により様々なカリキュラムが用意されている(アニメ・イラスト・音楽・スポーツ・芸能など) | △ 目立った特色はない |
スクーリング | ○ 柔軟に計画できる | △ 年間予定が組まれている |
設備・環境 | ○ 充実した学校もある | △ 目立った特色はない |
受け入れ時期 | ◎ 年に4回(4月、7月、10月、1月) ※随時受け入れている高校もあり。 |
△ 年に1回(4月) |
卒業率 | ○ 比較的高い(100%に近い学校もある) | × 私立よりもかなり低い(約40%程度) |
公立通信制高校の特徴は?
学費の安さ
公立の通信制高校の特徴は、学費を安く抑えられること。1年間にかかる学費は約5万円程度です。公立全日制、私立通信制で1年間にかかる学費は約25万円〜ですから、1/5程度に抑えられます。学費が安いことは大きなメリットとなるでしょう。
フォローアップの範囲は限られる
しかしながら、公立通信制高校は先生の数が限られている分、指導や生徒フォローはどうしてもできる範囲の対応となってしまいます。法律で定められている公立高校の先生の数は、全日制高校が20人に一人なのに対し、通信制は46.2人にひとり。ひとりで全日制の倍以上の生徒を担当することになります。
専門的なカリキュラムは用意されていない
また、公立学校という特性上、特別専門的なカリキュラムはほとんど用意されていません。私立通信制では、アニメやイラスト、音楽や芸能といった特化したカリキュラムを用意している学校もあるので、その点は物足りなさを感じるところ。
転入・編入の時期は年に1度のみ
編入・転入の受け入れ時期も4月の年に1回のみ(欠員がでた場合は9・10月の受け入れをする場合もあり)。新学期が始まるタイミングでの編入・転入となります。
卒業率は概ね40%
卒業率はいい数字とは言えません。概ね40%が公立通信制高校の卒業率です。これは学習に対するフォローアップ体制とも関係しています。公立の場合はある程度自分の力で単位取得を進めなければなりません。つまり、学習の基礎力が問われるということ。先生も学習が苦手な生徒にはフォローをしてくれますが、受け持つ生徒数がどうしても多いため、対応には限界があります。
学費が安いことは公立の大きな魅力ですが、一方でフォローアップ体制については不安を感じるのが正直なところです。
私立通信制高校の特徴は?
幅広い学習分野が用意されている
私立通信制高校の特徴は、何と言っても様々な面において充実した体制が用意されていること。
例えば学校によってはアニメやイラスト、ファッションや音楽など専門特化したコースを設けている学校もあり、自分の好きなこと、得意なこと、進みたい道に関することを学べるのが大きなメリットです。最近ではスポーツに特化した学校も目立ってきており、野球部が甲子園に出場するぐらい力をつけている学校もあります。
手厚いフォローアップ体制
また公立では教員不足が不安材料となりましたが、私立であれば十分な教員を確保している学校もありますので、手厚いフォローアップが期待できます。これは100%に近い卒業率を出している学校もあることに表れており、勉強な苦手な生徒についてもしっかりとフォローアップを行い、卒業までのサポートをしてくれるということです。そしてスクーリングも年間予定が組まれている公立と違い、ある程度自分の都合で予定を組める学校もあります。がっちりスクーリング日程が決められた形に不安を感じる方は、ある程度柔軟な計画が組める私立のほうが安心でしょう。
学費が公立よりも高いことが気になるかもしれませんが、それでも公立の全日制と同じぐらいで済む学校はたくさんあります。高校全体でみれば私立通信制でも高い水準にあるわけではありません。そうした点も踏まえると、私立通信制も進学先の選択肢として悪くないのではないでしょうか。
まとめ
- 公立通信制高校は学費の安さが最大の魅力。しかしながら生徒へのフォローアップ体制は教員の数に限界がある関係から手厚いものは期待できない。
- 私立は公立より学費が高いものの、フォローアップ体制が整っていたり、専門特化した学習ができたりとメリットが大きい。学費も25万円程度と、公立全日制と変わらない学校もあるため、そんなに高い学費がかかるわけでもない。
私立のほうがお金がかかる分、やはり様々な点において公立よりも勝ります。通信制高校に通う最終的な目的は高校卒業資格を得ることになりますから、そもそも卒業できなければ意味がありません。モチベーションは周囲の環境にも影響されますから、卒業率の高い学校に行けば自ずと子供も頑張りますし、逆に公立のように卒業率の低い環境にいると引っ張られてしまう子供もいるかもしれません。お金か内容か、どちらが正しいとは言えませんが、最終的には何を目的とするのかしっかりと考え、ご自身にあった学校選びを行いましょう。