通信制高校へ転入・編入する場合、単位の引き継ぎが可能な場合が多いです。
まず、前校に在籍していた単位は引き継ぎましょう。それは単位を引き継がない場合、卒業まで再度同じ単位を取得する必要があるほか、同級生との卒業時期がずれるなどの原因になりうるからです。
単位取得証明書を発行すれば、無事に通信制高校に転入しても単位が引き継がれます。
その他にも、通信制高校は転入・編入の受け入れ時期が異なっているなど、知らないと困ることがたくさんあります。
そのため、この記事では通信制高校の単位について・必要な手続きや卒後までの費用などを具体的に解説しています。
これから、通信制高校へ通うことを希望している方はぜひ最後まで目を通しましょう。
通信制高校への単位引継ぎと必要手続きについて
通信制高校へ転入する場合、単位の引継ぎが重要になります。単位の引き継ぎは前校で取得している単位のみが引き継がれるのが普通です。
通信制高校は単位制をとっていて、74単位を満たさなければ卒業できません。そのため、引き継ぎ単位数が少ない場合、その分span class=”c-red”>在籍期間が伸びる可能<性があります。
単位を引き継ぐ場合には前校で発行が可能な必要な書類の準備と手続きが存在します。
この記事を読んでスムーズに通信制高校への通学を可能にしましょう。
通信制高校への単位引き継ぎ可否
通信制高校への単位引き継ぎは可能な場合と不可能な場合があります。
全ての通信制高校で単位が引き継げるとは限りませんので注意してください。
取得している単位があれば基本単位引き継ぎは可能
単位が引き継げるのは、在籍校で取得している単位がある場合が基本になります。
では、単位を取得できるのはいつのタイミングでしょうか?
答えは進級のタイミングになります。これは多くの全日制高校が「学年制」という制度を採用しているからです。
学年制とは一年を通して授業や定期考査などのカリキュラムが組まれている制度
例えば、高校2年生に進級したタイミングで通信制高校への転入を希望する場合は単位が引き継げます。これは高校1年生までに取得した単位のみになります。
1つの目安として、一学年を終えると、その学年の単位は修了したことを意味します。
そのため「今まで通っていた学校の単位を無駄にしたくない」という方は当該学年が終了するまでは在籍することをおすすめします。
単位引き継ぎできない場合もあるので注意
通信制高校の単位引継ぎはできない場合が存在します。
具体的には以下の3つの場合は残念ながら引き継ぐことはできません。
- 高1で不登校になった場合
- 編入の場合
- 普通科以外から通信制高校へ転入する場合
上記の例を確認せずに「前の学校には頑張って通っていたのに単位が引き継げなかった!」と後悔しないよう、引き継げないパターンを頭に入れておきましょう。
例1.高1で不登校になった場合
高1で不登校になった場合は、単位が引き継げないので注意しましょう。
理由は、多くの全日制高校が「学年制」をとっているからです。高校1年生の途中では単位を取得したとはみなされません。
例えば、高1の1学期はもちろんのこと、3学期の途中で転入してしまった方も基本的には単位が引き継がれないと理解しておきましょう。
せめて、学年が終わるまでは在籍をして単位が取得できるタイミングまで待つことが大切です。
例2.編入の場合
編入の場合は単位の引き継ぎができないことがほとんどです。
なぜなら、編入は中退をしてから他の高校に入ることを意味します。中退すると、在籍していた学年の単位は修得したことにはならないケースが多いです。
通信制高校によって、「編入の場合は単位が引き継がれない」などの規則があります。必ず希望の通信制高校に直接問い合わせましょう。
加えて、編入よりも転入で通信制高校へ行く方がお得と言えます。
そもそも転入と編入の違いは?
- 転入=転校と同じ。単位を引き継げるメリットがある
- 編入=すでに中退した生徒が別の学校に行くこと
例3. 普通科以外から通信制高校へ転入する場合
普通科以外の高校から通信制高校へ転入する場合、単位の引き継ぎ数に上限があります。
例えば、工業化や商業化からの転入の場合です。
この場合、専門科目の単位数を保持することが多いですが、引き継げる単位数は全部で20単位までです。20単位を超えた分は、残念ながら引き継ぐことはできません。
これは通信制高校が普通科であり、普通科以外の単位を引き継ぐのは難しいからになります。
単位引継ぎには単位取得証明書が必要
通信制高校で単位を引き継ぎたい場合、「単位取得証明書」が必要です。
単位取得証明書を提出していない場合は、どんなに単位を取得していたとしても無効となってしまいます。
必ず自分の取得単位を証明する用紙が必要なので、忘れないように準備しましょう。
学校もしくは文部科学省のWebサイトから発行する
単位取得証明書は学校から直接発行をするか、文部科学省のWebサイトから発行するかの2通りです。
①学校から直接発行
担任の先生に相談すれば学校事務から申込書の発行をしてくれます。申込書の記入を行えば数週間で発行が可能です。
家と学校の距離が遠い場合は郵送してもらうことも可能なので、まずは学校に相談しましょう。
②文部科学省のWebサイトから発行
文部科学省のWebサイトから申込書を発行することが可能です。
必要事項を記入し、郵送すれば数週間で発行できます。しかしながら、発行手数料が数百円かかりますので注意しましょう。
単位取得証明書は2通発行する
単位取得証明書は通信制学校用と自分用に2通発行しておきましょう。
単位取得証明書は封がしてある状態で通信制高校に届けなくてはいけません。それだけ需要な書類なので開封厳禁となっています。
しかし、自分がどのくらい単位を取得しているかは把握しておいた方がいいです。なぜなら自身で単位数を確認し、通信制高校でいくつ単位を取得しなければいけないか計算することが重要だからです。
そのため自分自身で確認できるように、もう一通発行するのがベターとなります。
通信制高校への単位引継ぎ前に覚えておきたいこと
通信制高校への単位引継ぎ前に覚えておきたいことは以下の4点です。
- 在籍中の高校は中退しない方がベター
- 卒業時期をずらしたくないなら”転入”の方が良い
- 目安となる卒業までの費用
- 主な通信制高校の転入・編入時期
上記の4点を忘れて単位を引き継ごうとすると、後々後悔することがあります。
例えば、「編入受け入れ期間を逃して、余分な期間待たなければいけない」や「卒業時期が同級生とずれてしまって後悔した」などです。
通信制高校に通い、単位引き継ぎ後では修正が効かないので、今のうちに頭に入れておきましょう。
在籍中の高校は中退しない方がベター
在籍中の高校は中退をしない方がいいです。
中退をしてしまうと、通信制高校へ入る際は「編入」扱いになってしまいます。編入は単位の引き継ぎができないことが多いので、今までの修得単位数が無駄になってしまいます。
理由があって学校をやめること場合は仕方ありませんが、中退をわざわざする必要がない場合は、現在の学校に在籍したまま通信制高校へ転入することをおすすめします。
卒業時期をずらしたくないなら”転入”の方が良い
転入をした方が卒業時期がずれない可能性が高いです。
そもそも、全日制高校の同級生と通信制高校の生徒は卒業時期がずれる可能性があることをご存じですか?
通信制高校は「74単位以上」の取得で卒業が可能です。つまり、3年間をかけても74単位を満たさなければ卒業はできないということです。
全日制高校は基本的に3年間出席をしていれば卒業できます。そのためズレが生じることがあります。
転入でなるべく前校での単位数を引き継いでおけば、残りの単位を修得し同級生と同じタイミングで卒業が可能です。
[転入や単位取得に関する詳しい説明はこちらの記事も参照ください]
目安となる卒業までの費用
目安となる卒業までの費用を把握しておくと、スムーズに通信制高校へ転入できます。
通信制高校は大体どのくらいの費用がかかるか知っていますか?
実は公立と私立の通信制高校で卒業費用は大きく違います。
大体の卒業費用は以下の通りです。
公立通信制学校 | 3万円~ |
---|---|
私立通信制学校 | 20万円~ |
卒業に必要な単位数を計算する
通信制高校の卒業費用を知りたい場合は、卒業に必要な単位数を計算しましょう。
通信制高校は1単位ごとに授業料がかかります。全日制高校との大きな違いは単位ごとに授業料をとるか否かになります。
つまり、転入する生徒は、その生徒ごとに卒業費用が異なるということです。
そのため、自分に必要な単位数を把握することが大切です。卒業必須単位数は74単位ですので、現在修得している単位数を引けば残りの単位数がわかります。
1単位ごとの費用は公立と私立によって異なりますので注意してください。
卒業に必要な単位数=74単位(卒業必須単位)ー現在修得している単位数
公立通信制高校の卒業費用は3万円~
公立通信制高校の卒業費用は3万円~が目安です。
内訳は以下の表をご覧ください。
内訳 | 費用 |
---|---|
入学金 | 500円 |
授業料(1単位当たり) | 300~500円 |
授業料以外の費用(年間) | 2万~3万円 |
計 | 約3万円 |
1単位あたりの授業料は300~500円が目安です。全日制高校同様に、公立高校はリーズナブルな値段で卒業が可能です。
私立通信制高校の卒業費用は20万円~
私立通信制高校の卒業費用は20万円~が目安です。
内訳は以下の表をご覧ください。
内訳 | 費用 |
---|---|
入学金 | 1万~5万円 |
授業料(1単位当たり) | 5千~1万2千円 |
授業料以外の費用(年間) | 10万~30万円 |
計 | 約15万円 |
授業料が公立の300円~と比べて5千円~と大きく違います。
また、私立は授業料以外の費用(教科書代や施設費)が10万円を超えることがあります。
学校によっては特別な授業カリキュラムを組んでいることで値段が変わることもあります。
気になる方は各学校ホームページを参照してみましょう。
主な通信制高校の転入・編入時期
通信制高校は転入・編入時期が学校によって異なる場合があります。
転・編入の手続きを行う上で、学校ごとの時期を知っておくことはとても重要です。申し込みまでに時間がなさすぎて、転入の機会を逃したという話もあるぐらいです。
これから転入・編入を希望している方は時期を把握し、逆算して手続き準備ができるようにしましょう。
以下は主な通信制高校の転入・編入時期は以下をご覧ください。
学校 | 転入 | 編入 |
---|---|---|
トライ式高等学院 | 随時 | 随時 |
N高等学校 | 随時 | 4月,7月,10月,1月 |
S高等学校 | 随時 | 4月,7月,10月,1月 |
ルネサンス高等学校 | 随時 | 4月,7月,10月,1月 |
飛鳥未来高等学校 | 随時 | 不明 |
鹿島学園高等学校 | 随時 | 随時 |
精華学園高等学校 | 随時 | 随時 |
あずさ第一高等学校 | 随時 | 4月,10月 |
クラーク記念国際高等学校 | 随時 | 4月 |
有志国際高等学校 | 随時 | 随時 |
ヒューマンキャンパス高等学校 | 随時 | 随時 |
目安となる通信制高校の転入・編入時期
- 転入はいつでも可能
- 編入は年に2~4回設定していることが多い
通信制高校への転・編入に必要な手続きや試験は?
通信制高校への転入や編入には必要な手続きと試験が存在します。どの高校に行くにも必要な手続きはつきものです。手続きは書類関係の提出が重要です。
また、手続きの流れも決まっているので、間違えのないようにしましょう。
通信制高校は入学試験はないと思われがちですが、実際は存在しますので注意してください。
転入・編入に必要な書類と手続き
転入・編入に必要なのは以下の2点です。
- 書類の記入と提出
- 通信制高校との手続き
書類関係は提出不備などのトラブルが多いトピックになります。必ずこの記事を確認し、ミスなく書類の記入と提出まで終わらせましょう。
書類関係
書類関係は作成する人が自分だけでなく、在籍する高校が記入をするものもあります。通信制高校から書類をもらうこともありますので気を付けましょう。
転入と編入で微妙に提出書類が変わっています。以下の表を参考にしてください。
作成する人 | 作成する書類 |
---|---|
自分 | 入学願書
作文(学校による) |
在籍する高校 | 成績・単位修得証明書
生徒の転学について(照会) ・在籍証明書 |
その他 | 証明写真(学校によっては複数枚)
受験料の振込み証明書 健康診断書(学校による) |
作成する人 | 作成する書類 |
---|---|
自分 | 入学願書
作文(学校による) |
在籍していた高校 | 成績・単位修得証明書
在籍証明書 |
その他 | 証明写真(学校によっては複数枚)
受験料の振込み証明書 健康診断書(学校による) |
入学となると書類の提出が多かったり、手続きが複雑になります。
記入不備などで再提出を求められる場合もあります。そのためにも、余裕をもった準備を心がけましょう。
学校の担任や進路担当の教員にも相談すると心強いです。気になることがあれば積極的に話をしましょう。
手続きの流れ
手続きの流れは以下の通りです。
必ず流れを確認し、ミスのないようにしましょう。
- 願書を取り寄せる
- 必要書類の作成
- 在籍する(または在籍していた)高校に必要書類の発行を依頼
a.受験料の振り込み
b.入学願書等の作成
c.必要書類を通信制高校へ郵送
- 書類審査・面接・学力試験
- 合否判定
- 入学手続き
入試は基本書類審査と面接を行う
通信制高校の入試は書類審査と面接の2つが基本です。
「通信制高校でも入試を行うのか」と思った方も多いでしょう。基本的にどの高校でも入試制度がありますので気をつけください。
しかし、通信制高校は学力試験がないのがポイントです。学力試験とは国語・数学・英語のような教科の習得状況を検査する試験です。
これは全日制高校との入試の大きな違いです。勉強の出来・不出来で入学を決めることはありません。また、内申点が低いから通信制高校に入れないことはありません。
では、通信制高校の入試は受験者のなにをみているのでしょうか?答えは、通信制高校は書類審査と面接で受験者の人柄を見ています。
人柄を見て、受験者が通信制高校で卒業まで在籍できるかなどを判断しています。
特に面接には力を入れる
通信制高校の試験では特に面接に力を入れましょう。「面接ではどんなことがきかれるの?」と身構えてしまう方もいると思います。
通信制高校の面接は特に難しい質問をされることはありません。
例えば、「なぜこの学校を選んだのか」「通信制高校に入ったら何を学びたいか」「将来はどのような職業に就きたいか」などです。
基本的なことしか聞かれないので、準備もそこまで必要はありません。ただ、自分が思っていることを伝えられるように、考えをまとめておく必要はあります。
面接官は上手い答えを待っているのではなく、その人の考えを聞きたいだけです。緊張せずにありのままの自分をだしましょう。
【まとめ】
通信制高校には単位を引き継ぐことが可能なことがわかりました。
具体的には前校での在籍によって、単位を取得している場合です。高校1年生の時に中退してしまうと、単位は引き継げません。
また、単位の引き継には「単位取得証明書」が必要になるなど、書類関係の準備が必要です。
単位のことや転入・編入のことは在籍している学校の担任と相談しながら進めたり、志望する通信制高校に問い合わせるなどしてより正確な情報を得ましょう。