出席日数が足りなくなった、このままでは単位を落とすと学校から言われた、など…。こんな時、すぐに留年になってしまうのか疑問に感じるのではないでしょうか。
最低出席日数のひとつの目安は、「本来出席すべき日数の2/3以上」です。これは法的な基準ではなく、各学校の規程によるもの。どんな基準を採用しているかは、実際に学校の規程を確かめる必要があります。
なお、出席日数のカウントは登校日単位ではなく、科目ごとの出席回数となります。特定の科目で欠席回数が規程を上回ると、単位不認定となり単位が取得できません。ほとんどの全日制高校では、ひとつでも単位不認定の科目があると進級・卒業できない可能性が高くなります。
しかし、出席日数が規程に満たなくても、救済措置によってすぐに留年とはならないこともあります。補講での欠席日数の埋め合わせや、仮進級措置がそれに該当します。
こうした救済措置がない場合には、最終的に留年を考えることになります。ただし、今の学校が合わないと感じて不登校になったならば、転校という選択肢をとるのも1つの方法です。個人の事情に合わせた適切なサポートを受けながら、無理なく卒業を目指せます。
そんな転校(転入)の仕組みをここでは詳しくご紹介していきます。
高校卒業や進級に必要な最低出席日数は?
本来出席すべき日数の「2/3」が目安
最低出席日数としてひとつ目安となるのが「本来出席すべき日数の2/3以上」です。多くの学校では、この「2/3以上」を単位取得に必要な最低ラインとしています。
最低出席日数に法的な決まりがあるわけではない
ただし、最低出席日数は法律で決められたものでなく、各学校の規程に委ねられており、必ずしも2/3でない場合もあります(例えば、3/4以上の出席を必要としている学校もあるなど)。
自分の学校の最低出席日数を確かめるには、規程を確かめる必要があります。担任の先生など、コミュニケーションをとりやすい先生に相談し、具体的日数を確認してください。
出席日数は授業ごとにカウント
出席は登校日単位でカウントされるのではなく、科目ごとの出席回数でカウントされます。つまり、登校日数自体は2/3以上あったとしても、特定の授業の欠席数が規程を超えてしまうと、単位不認定として扱われるということ。
そして、学年制を採用している高校(=ほとんどの全日制高校)では、その学年で取得すべき全ての単位を取得することが進級・卒業の条件となっていることが多く、ひとつでも単位不認定の科目があると、進級・卒業できない可能性が高いです。
この場合、留年してもう一度その学年をやり直すか、仮進級などの救済措置を受けて不認定だった単位の取得を目指すことになります。
技能教科等の授業日数が少ない教科は、5教科に比べ猶予される欠席日数も少なく、学校によっては学校行事にも単位設定している場合があります。このあたりで単位不足になる生徒もいますので、そうならないよう覚えておきましょう。
出席日数で留年しそうな場合の救済措置はある?
出席日数不足で留年しそうな場合、救済措置として以下2つが実施される場合があります。
- 補講による埋め合わせ
- 仮進級措置
補講による埋め合わせ
長期休暇中などに補講を実施したり、課題を与えたりして欠席日数の埋め合わせを行う救済措置があります。 仮に特定の科目で単位を落としてしまったとしても、きちんと補講を受けたり、課題を提出することで進級・卒業できる可能性があります。
仮進級措置
出席日数の不足により単位を落とした場合でも、「仮進級」という措置が取られる場合があります。仮進級すると、後々追認試験を受けられます。この追認試験に無事合格すれば、不認定であった単位をあらためて取得する(追認定を受ける)ことができます。
しかし仮進級のかたちで進級すると、次の学年の授業や試験と並行して、不認定科目の授業を受け直すことになりますので、留年して再度その学年の勉強をやり直すことに比べ、自分のペースで勉強を進めるのは難しくなります。仮進級は生徒にとっての負担が大きくなることを前もって認識しておきましょう。
今の学校に行きたくない、そんな場合は通信制高校への転校もひとつの選択肢
登校日数が足りなくなった、つまり不登校気味になった理由は個人により様々あると思います。学習意欲の低下、人間関係(いじめ)、体調不良や急病、発達障害などなど。もし学校の環境そのものが原因である場合や、ご自身の体調面に関して手厚いサポートを受けたいと考える場合は、無理に今の学校を継続せず、転校ということもひとつ選択肢として考えて良いかもしれません。
不登校生徒へのサポート体制が手厚い通信制高校
通信制高校では、 様々な事情で不登校となった生徒へのサポート体制が整っています。
入学してくる生徒の中には、いじめなど経験から対人関係に不安を持っている生徒や、発達障害を抱えた生徒も少なくありません。
そんな生徒たちが安心して学校生活が送れるよう、多くの通信制高校ではスクールカウンセラーと呼ばれる福祉分野の専門の資格を持った職員を配置しています(中には教員自身がカウンセリングの資格を持っている場合も)。
カウンセラーと相談できるのは生徒だけでなく、親も利用可能となっている場合も多く、家庭での接し方や教育についてアドバイスが受けられます。
こうした支援体制が整っているのは、通信制高校の特長のひとつです。
これまでの単位を引き継げるなど、転入しやすい仕組みがある
通信制高校へ転入する場合、これまで取得した単位はそのまま引き継げます。在籍期間に関しても同様に引き継げますので、1年生からスタートし直す必要もありません。
また転入の場合は入学を随時受け付けているところが多く、年度途中の転校も問題なくできます。
もし学力面に不安があったとしても、入学の合否は基本的に書類審査と面接によって判断されます。学科試験を受けるケースはまれです。不登校気味で授業を受けておらず、学力に不安があったとしても、通信制高校への転校は難しくないと考えられます。
たとえ留年と同じタイミングで転入したとしても、生徒の年齢もバラバラなので、1つ2つ年上だったとしても、あまり浮かないという特徴もあります。
入学後は自分のペースで卒業を目指せる
通信制高校は「単位制」を導入しており、1年間で取得する単位数は生徒の意思に委ねられています。最終的には必須科目を含む74単位を取得する必要がありますが、必ずしも3年間で取得する必要はなく、4年以上かけて取得してもいいのです。
また、全日制高校のように週5日登校する必要がありません(学校やコースにもよる)。学習は自学自習を基本とし、月数回のスクーリングで済むため、自分のペースを守りやすいはずです。
登校日には日頃の学習における疑問点から学生生活における悩みごとまで、すべて直接教員に相談できます。
決して無理せず、周囲に寄り添ってもらいながら目標に向かっていける。そんな環境を望むのであれば、ひとつの選択肢として通信制高校を考えてみてもいいかもしれません。
まとめ
- 最低出席日数のひとつ目安は「本来出席すべき日数の2/3以上」ただし、最低出席日数に法的な決まりはない。あくまで各学校の規程による。
- 出席日数不足で留年しそうな場合「補講による埋め合わせ」や「仮進級措置」の救済措置をとる学校がある
- 不登校の原因が学校の環境そのものである、心身の体調面に関して手厚いサポートが必要、等であれば無理に今の学校を継続せず、転校もひとつ選択肢としてみる
学校にいることが辛いと感じるなら、今の学校が自分に合っていない可能性が考えられます。まずは今の気持ちを明かせる相手を一人でも多く見つけてみてはどうでしょうか。
学校に相談しやすい先生や友達はいませんか?もし誰もいなくても、公的機関が運営している専用ダイヤルなどの相談窓口があります。無料で相談できることが多く、気軽に利用できます。
また不登校の当事者が集まるコミュニティも数多く存在しています。同じように悩んでいる仲間が見つかれば、一人で悩むよりもきっと安心できるでしょう。また、保護者の方と学校について意見が分かれているならば、これを機に話し合う、転校について一緒に考えてみる、というのも良いかと思います。
決して今の学校だけがすべてではありません。もう一度学校に通いたい、学び直したい、という強い気持ちがあるのであれば、転校も視野に入れてみてはどうでしょうか。とりあえず学校の情報だけでも集めてみる、というので構いません。一歩ずつ焦らずに、これからの進路を考えていきましょう。