高校生になり不登校になってしまった場合、親はどのような反応をすれば良いでしょうか?
まず、不登校であるという事実を恥ずかしがらないようにしましょう。子供は自分から不登校になったわけではないからです。
子供の気持ちを汲み取って接してあげましょう。具体的に親が不登校の子供に接するやり方があります。
厳しくしすぎないことと優しくしすぎないことが肝心です。どちらも信頼関係のもとに成り立つことを理解しましょう。
不登校の子供をどうにかしようと頑張りすぎると親は疲れてしまいます。学校の先生やスクールカウンセラーなどの外部機関に相談するのが良いです。
状況が変わらない場合は通信制高校やチャレンジスクールなどに転入するのもいい案です。
この記事では具体的に不登校の子供と親の接し方について詳しく説明しています。
不登校だということを恥じてはいけない
子供が不登校の場合、親のよくある反応として「不登校だということを恥ずかしいと思う」場合があります。
ですが、それは子供にとっては良くない反応です。もし心当たりがあると感じた場合は、すぐにでもやめるようにしましょう。
不登校の子供と接するときに大切にしないといけないことは「相手の気持ちを考える」ことです。これはどんな人と接するときも当てはまります。
親が恥ずかしいと思っていることは、すぐに子供にも伝わります。「自分は恥ずかしい存在なんだ」と自己肯定感が下がってしまうので気を付けましょう。
不登校になりたくてなったわけではないことを理解する
まず大前提として、”子供は自分から不登校になりたくてなったわけではない”ことを理解しましょう。
親が子供が不登校であることを心配する気持ちはよくわかります。ですが、親以上に不登校であることを心配しているのは子供自身であるということです。
不登校の理由は人間関係によるもの、挫折によるもの、家庭内の環境によるものなど様々ですが、いずれにして、子供が進んで不登校になるケースは少ないです。
親はその事実を理解してあげると良いでしょう。子供にもその気持ちが伝わり「良い理解者」であると認識してくれます。
不登校生徒は統計で見ても数が多い
不登校の数は意外と多いのをご存じですか?
文部科学省が毎年統計を出している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」を見てみましょう。
学校 | 生徒数 | 不登校生徒数
割合 |
前年度比 |
小学校 | 6,300,693人 | 63,350人
1.01% |
118.74% |
中学校 | 3,211,219人 | 137,777人
4.13% |
103.80% |
高校 | 3,092,064人 | 43,051人
1.39% |
85.93% |
高校生は43,501人と全体の1.39%です。前年度と比べると約85%と下がっていますが、いずれにしても多いように感じます。
不登校数は中学生が一番多くなる傾向になります。高校に進学して高1高2高3と進みにつれ、数は減少します。その理由は高校では、不登校の状態からそのまま中退するケースが多いからです。
4万人以上の子供は不登校であるということを理解すると、「不登校は自分の子供だけではない」と感じられます。
まずは、不登校という状況を素直に受け入れることから始めましょう。
子供が一番不登校だということを負い目に感じている
子供は不登校になりたくてなったわけではないと述べましたが、同時に子供は不登校であることを負い目に感じています。
我々大人は、社会に出てみると不登校であることがマイナスに働くことはそこまでないと気づきます。これは今の世の中の流れが変わってきたこともあります。
気持ちや考えなどの内面の部分は大人になると成長し、「そこまで大した事なかったな」と感じられる場合が多いですが、それは成人になり心が成長したからです。
まだ、16歳ちょっとの子供にとっては、不登校である事実は本人の中でものすごい負い目に感じるものです。
思春期の子供にとっては、周りに知られたくもないでしょう。負い目に感じると同時に、これからの将来はどうすれば良いのかという不安や焦りも生まれてきます。
このように子供の気持ちは複雑です。なるべく親が手助けできる環境を作りたいですね。
子供は親に理解してほしい
子供は以下のようなことを親に理解してほしいと感じています。
- 不登校になりたくてなったわけではない
- 不登校であることを負い目に感じている
- これからの将来に不安・焦りがある
不登校である子供にとって、一番近くで自分のことを見守ってくれる人はやはり親しかいません。
子供は親には理解してほしいけれど、それを直接伝えることはほぼないと考えていいでしょう。自分が困っている時に、それをすぐ伝えられる方は多くはないですよね。
思春期の子供にとっては、より難しいことでしょう。この記事を読んで、子供がそんな風に感じているのか、理解してほしいのかと気づくことが大切です。
不登校の子供への4つの接し方
実際に子供の気持ちが理解できたとして、それだけで良いのでしょうか?次は高校生で不登校の子供への接し方を紹介します。
接し方は大きく分けて4つです。
①厳しく接しない
②優しくしすぎない
③子供の気持ちに共感する
④子供にとって居心地の良い雰囲気をつくる
子供との関係性が上手くいっていない親は特に必見です。最後までご覧ください。
①厳しく接しない
不登校の子供に対して、親は厳しく接してしまうことがありますが、それは良くない行動ですのでやめましょう。
厳しく接してしまう原因は
「このままでは子供の将来が心配」「高校生なんだから学校に行かないと」などの親の将来の焦りや不安から来るものです。
ですが、先ほども述べように、子供もその不安や焦りを感じています。お互いが焦っても何もいい結果は生まれません。
また、厳しくしすぎると子供は反発する傾向にあります。親は子供の気持ちを理解していたとしても、子供からすると「なんだ、自分の気持ちはわかってくれないんだ」と気持ちを理解していない親だと思われてしまいます。
厳しすぎると親に心を開くのは難しい
不登校の子供に厳しくしすぎると、子供は自分の気持ちをわかってくれないと判断し心を開くことが難しくなります。
間違えてはいけないのは「厳しくすること」がダメなわけではないということです。
あくまでも過度に厳しくしすぎることがNGです。言葉を変えると「子供の気持ちに寄り添った言葉がけや、接し方ができているか」ということです。
子供は時には大人から背中を押されたり、鼓舞されて前に進むことができます。その場合は時には厳しく接しなくてはいけないかもしれません。
ですが、それは相手との信頼関係があり、気持ちに寄り添っているからこそできる行動です。ただ、やみくもに厳しく接したり、親の気持ちを押し付けるだけにならないようにしましょう。
②優しくしすぎない
次にやりがちな間違いは「優しくしすぎる」ことです。
人間というのは簡単・楽な方にどんどん流れてしまいます。子供ならなおさらそうです。
不登校で家で生活していると、大体の子供は勉強はしなくなるでしょう。ゲームが好きな子はゲームをしたり、テレビ・Youtube見たりなどして生活すると思います。
最初は不登校であることに危機感を覚えていた子供も、しばらく家にいれば楽な環境だからと言ってじっとこのままでいいかもと思う可能性もあります。
そんな時に子供の要求を全て受け入れて優しくしすぎると、結果として子供のためにはなりません。
物を買ってほしいと頼まれたり、最近だと課金や現金を要求するケースもあります。そんな時に優しくしすぎてなんでも受け入れてしまうのはNGです。
子供のいいなりになると引きこもりになりやすい
「優しすぎる」が発展すると子供の言いなりになったり、子供が引きこもりになりやすいケースがあります。
最近多いのはネット環境にはまってしまって、現実世界の人とコミュニケーションをとる機会が減る→引きこもりになるというケースです。
子供の要求はご飯を要求したり、課金への金銭を要求することだけなど、非常に親子感の関係は良くないです。
優しすぎるがエスカレートすると、親もどこでやめれば良いかがわからなくなります。つい、子供の要求を受け入れるのをやめたら、子供にキレられる。など悪循環に陥ってしまいます。
子供の言いなりは親と子供の立場が逆転してしまいます。逆転するとそこから元に戻すのは大変です。そうならないためにも、優しすぎる接し方には注意が必要です。
③子供の気持ちに共感する
「厳しくしすぎない」「優しくしすぎない」というのはとても表面的な接し方です。まず、不登校の「子供への正しい接し方は子供の内面や気持ちに”共感”するということです。
“共感”という行動は、学校の先生が生徒と接するときによく行います。教育心理学でも紹介したり、不登校の生徒、精神が安定しない生徒の相手に特化しているスクールカウンセラーもこの”共感”を上手く使っています。
子供の考えていること・思うことに対してまずは共感してあげてください。共感とは気持ちを受け入れることです。
大人である親からすると、「その考え方は間違えてるよ」と思うこともあるでしょう。ですが、まずはグッと我慢をして素直に共感や受け入れてあげることを優先してください。
そうすると、親に対する子供の感じ方も変わってきます。「この人は人の話を聞いてくれる人だ」となるケースが多いです。
子供の本音を引き出しやすい
共感を示すと子供の本音を引き出しやすくなります。なぜかというと子供は相手が話を聞いてくれると判断するからです。
子供は相手が自分の話を受け入れてくれるか、そうでないかを敏感に察知します。
共感して話を受け入れる体制ができたら、是非、子供に沢山話をさせてあげてください。そうすると子供は次第と本音を言ってくれるでしょう。
子供が何で悩んでいるのか、これからどうしたいのかまで引き出せると、かなり良い親子関係だと言えるでしょう。
ただし、子供の本音を引き出すのは簡単にはいかないので、時間が掛かることは頭に入れておきましょう。
不登校の子供が立ち直って学校復帰したり、自分の進路を決めていくまでには1年かかるのはざらにあります。
④子供にとって居心地の良い雰囲気をつくる
子供に共感をして本音を引き出すことの重要性を説明しましたが、子供にとって居心地の良い雰囲気をつくることも大切です。
居心地の良い環境を言い換えると、「子供が素でいられる環境」と言えるでしょう。
子供が素でいられない・居心地が悪い例は以下の通りです。
- 夫婦間の仲が悪い(子供の進路や子育てで揉めている時は特に)
- 親が完璧主義(勉強をして偏差値の高い大学に行ってほしい)
- 固定観念が強い(高校生は学校へ行くのが当たりまえ、不登校は将来仕事につけない)
- 世間の目を気にする(不登校の子供がいて恥ずかしい、周りに言えない)
一概に上の例だと居心地が悪く、素でいられなくなるとは限りませんが、ケースとしては多いものばかりです。
これらの例の共通点は「子供の気持ちを理解していない」に集約できます。人と良好な関係を結ぶには、相手の気持ちを考えたり、理解することが大切です。
夫婦間の問題は不登校に影響を与えやすい
夫婦間の問題は、不登校に悪影響を与えやすいのをご存じですか?
なぜ、夫婦間の問題が影響を当たるかというと、子供にとって親は第一に近しい存在だからです。
近い存在の問題は子供にダイレクトに伝わります。なぜなら、子供の感受性はとても豊かだからです。
夫婦が年中ケンカをしていては、近くで見ている子供の心もすさんでいくのは当然です。
ちなみに、不登校対応を専門とするスクールカウンセラーは子供だけでなく、夫婦の関係を細かくヒアリングします。そして、子供の問題よりも先に、夫婦間の問題を解決するぐらいなのをご存じですか?
それくらい夫婦間の問題は子供の影響を与えていることを理解しましょう。
不登校問題で親が疲れないための対策
不登校の問題を抱えると、どうしても親が疲れてしまう場合があります。それは親が子供の為にできることを試行錯誤して実践しているからです。また、親の考え通りには上手くいかないからでしょう。
まず前提として、不登校の問題は容易ではなく、すぐに解決できるものではありません。時間が掛かるのは当然だと思っておきましょう。
なので、親が疲れない対策が必要です。以下で疲れないための対策をいくつか紹介するのでご覧ください。
家庭外で相談・協力してもらうところを探す
家庭内だけで不登校問題を解決するのではなく、家庭外に相談・協力してもらうところを探しましょう。
どうしても家庭内で不登校を解決しようとするケースが多いですが、その場合ストレスを溜めすぎたり、疲れてしまう場合があります。
また、不登校の問題を解決するには外部の協力は非常に大事になります。不登校問題を専門とする方たちも多くいるので以下を頼りにしてみましょう。
①学校の先生に相談する
②スクールカウンセラーに相談する
③家庭教師などの外部学習を活用する
①学校の先生に相談する
不登校問題は一番に学校の先生に相談しましょう。学校の先生は教育のプロと言えます。子供接し方や、不登校生徒に対してのアプローチ、進路など幅広く知識を持っているでしょう。
まずは、担任や学年主任への相談をしてみましょう。家庭での悩みを打ち明けるだけでも親の疲れもなくなります。
ただし、先生に頼ってばかりで、親が不登校問題に関与しないケースも少なくありません。いわゆる放任する形は先生にとっても大変で、不登校の解決は難しくなるのでしないようにしましょう。
②スクールカウンセラーに相談する
大体の学校にはスクールカウンセラーが勤務しています。スクールカウンセラーは心に悩みがある生徒や不登校になった生徒とカウンセリングして問題を解決する役割です。
スクールカウンセラーは話を聞くということに長けているので、不登校生徒とのコミュニケーションに非常にうまく行えます。
生徒だけではなく、親とのカウンセリングも大切にしています。自分一人で悩むのではなく、専門家に話を聞いてもらうだけでも違うでしょう。
③家庭教師などの外部学習を活用する
家庭教師や外部学習を活用するパターンもあります。
家庭教師や外部学習は、個別で学習できる上に、子供が心を開きやすいケースがあります。
特に最近の家庭教師は子供にとって、若いお兄さんやお姉さんのような役割をしてくれて、勉強から発展して自分の悩みや不安を打ち明けるケースもあります。
勉強面もカバーできるので、親が付きっきりで面倒を見る必要もなく、疲れがたまりにくいでしょう。
自分を責めない
不登校で親が疲れないコツとして「自分を責めない」ことが大切です。
「子供が不登校になったのは自分(親)の育て方が悪かったのではないか」と自分のことを責めてしまうケースは少なくありません。
真剣に子供に向き合う親ほど、自分が間違っているのではないかと思いがちです。
ですが、そんなことはありません。子どもが不登校になる背景・原因は多岐にわたります。また、不登校になるケースは少なくなく誰でもなりうることだということを理解しましょう。
状況によっては学校を変えるのもあり
不登校の状況によっては学校を変えるのありだということを知っておきましょう。
ここでの不登校の状況とは主に以下のような場合です
- 学校内の人間関係が原因
- 学校の学習面が原因
どちらにしても不登校の原因が今通っている学校に起因している場合は学校を変えることも視野に入れても良いでしょう。
なぜなら、人間関係も学習面も問題を解決するには労力が掛かりすぎるからです。
人間関係を解決するのは本人だけではなく、周りの子供も関係します。学習面に関してはそもそもレベルが子供に合っていなかったパターンもあります。
なので、以上の場合はこれから紹介する進路に変更もありなので検討してみましょう。
通信制高校
通信制高校は、自宅で学習、決められたレポートの提出を主としている高校です。自宅での学習だけでなく、出席が必要な日も年に何日かある学校になります。
学校によってさまざまですので当該学校HPをよくチェックしましょう。通信制高校の一括資料請求サイトも最近では充実しています。気になる方は下のリンクを覗いてみましょう。
人間関係に悩んでいる子供は対面が少ない通信制高校が良いでしょう。
チャレンジスクール
チェレンジスクールは、小中で不登校経験を持つ生徒や高等学校での中途退学などで、学校に通うことができなかった生徒を支援するための総合学科の学校です。
午前部・午後部・夜間部の3部制の高校で単位制です。総合学科なので「情報デザイン」「生活福祉」「人間環境」などの学校によって専門的内容も学習します。通常4年間で卒業なのもほかの学校とは違うところです。
不登校生徒のための学校といっても過言ではないので、もう一回学校での生活をやり直したい方にはオススメです。
【まとめ】親の反応とこれからすべきこと
高校生不登校の場合、親はどんな反応・接し方をすればいいか紹介しました。
不登校であるという事実を受け入れ、不登校は恥ずかしいことだと思わないようにしましょう。
子供の気持ちに共感してあげると、子と親の良好な関係を築けます。良好な関係だと不登校の問題を解決しやすいです。
不登校問題は根気と時間が必要です。子供のことを思いすぎるが故に、親の精神が疲れてしまうケースが多いです。
一人で解決しようとするのではなく学校の先生やスクールカウンセラーなどの外部機関に相談しましょう。