中学不登校の生徒は高校受験の時に、出席日数が足りていないという面で不利になるケースがあります。目安は年間30日以内の欠席を超えると審議対象になる可能性があると考えていいでしょう。
しかし、そこまで気を落とす必要はありません。その代わり、今からできることを行うこと、考えることが大切です。
具体的には無理のない範囲で学校に通ったり、担任の先生と進路について話をすすめることです。また、中3の定期テストは最低限受けるようにするなど、すべきことはまだあります。
不登校生徒に配慮をした学校は通信制・定時制高校やチャレンジスクールなど多いので進路を決める際の参考になるでしょう。
この記事では、不登校だと高校受験に不利なのか、どう影響するのかを解説します。
中学不登校だと進路によっては不利になる場合がある
中学校を不登校として生活している場合、進路によっては不利になる可能性があります。
受験出願時に中学校での出席日数を記載した書類を提出することになります。高校側は欠席日数が多い生徒が、もし当該高校に入学したとしても、また学校に来ない可能性があると思ってしまいます。
だからと言って、「もう高校に行くことはできないんだ」とあきらめてしまう必要はありません。あくまで不利になってしまうケースもあるということです。
進路の選択肢は狭くなってしまうかもしれませんが、十分に不登校の生徒でも満足行くような進路があります。
詳しくは、後ほど解説しています。
公立学校は試験と調査書点で合否をつける
高等学校への入学試験は学力検査(学校によっては実技試験)と調査書点で合否をつけます。
そもそも調査書には大きく以下の事項が記載されています。
- 内申点(1年~3年2学期もしくは3年2学期分、都道府県によって異なる)
- 出席・欠席日数
- 生活態度や受験者の行動の記録、特別活動への参加
- 長所・短所
都立高校の場合、一般入試では学力検査と調査書点(内申点)を7:3の比率で数値化し合否を判定します。ここでいう、調査書点は9教科の評定を表します。
試験の3割は今までの学校での評定で算出され、合否に大きく関係するでしょう。
最低でも中3で学校に通わないと、評定を付けることが難しくなります。なので、今は不登校で投稿できていない方も、無理のない範囲で登校することは大事です。
調査書点は出席日数(年間約30日)が関わる
公立の学校は大体年間約30日の出席日数が必要になります。
例えば、千葉県のとある県立高等学校では、3年間の欠席日数が30日を超える場合は「審議の対象とする」とされています。
多くの学校の募集要項や入学試験実施要綱に出欠席に関する事項が記載されています。記載されていない場合でも、問い合わせれば教えてくれるので必ず進路に考えている学校の情報は確認しましょう。
私立学校は条件付きの出席日数ボーダーがある
私立学校では出席日数のボーダーが学校ごとによって違います。
私立学校はそれぞれが理念をもって運営している自営校と言えます。なので、受験の際に出席日数がどのくらい関わるかはその学校次第ということになります。
公立学校同様、年間で30日の欠席日数を基準にする学校もあれば、全く考慮しない学校もあります。
以下は東京私立学校の条件付きの出席日数例です(校名の公表は控え、参考として普通科の偏差値を載せています)。
- ①1年次・2年次・3年次での欠席がそれぞれ10日以内であること(偏差値60の学校)
- ②原則、第3学年の欠席日数の合計が30日未満(偏差値55の学校)
- ③欠席基準はなし(偏差値50の学校)
②については「*ただし、30日以上の場合は、「欠席状況説明書(A)」(学校作成用)、「欠席状況説明書(B)」(保護者・本人作成用)の提出が必要」と定めあり。
出席日数の規定は各学校の募集要項や入学試験実施要綱に載っている場合がほとんどです。
記載がない場合は受験説明会や個別相談会の時などに直接伺うことも可能です。また、学校の先生に聞いてみるのも良いでしょう。
必ずしも不登校が不利というわけではない
先ほども述べたように、不登校だからと言って必ずしも高校受験に不利というわけではありません。
出席日数が調査書に記載されたり、基準の欠席日数が決まっているからと言って必ずしも不合格になるとは限らないということを理解しましょう。
あくまで、”不利=審議対象”になるということなので覚えておきましょう。
また、私立高校は出席日数を考慮しないで当日の試験内容で判断する場所が多いです。加えてチャレンジスクールや定時制高校などの不登校生徒の受け入れ態勢が整っている高校もあります。
重要なことは、これまでの欠席日数は変えることができません。その代わり、今できること・しなくてはいけないことを実行しましょう。
不登校の不利を少しでも少なくするために行いたいこと3つ
不登校だと、高校受験で多少不利になるという話をしました。それでは、その不利な状況を少しでも少なくするために行いたいことを紹介します。
するべきことは大きく分けて3つです。
- 無理のない範囲でなるべく学校に通う
- 担任の先生と進路を相談する
- 最低限定期テストは受ける
どの項目も、中3の今から行動すれば遅くなく、明るい未来につながる行動です。ぜひ、最後まで読んでください。
①無理のない範囲でなるべく学校に通う
中学不登校の生徒は、これから無理のない範囲でなるべく学校に通いましょう。お薦めする理由は以下4つです。
- A. 欠席日数をなるべく減らすことが大切だから
- B. 学校で授業を受けた方が授業内容がわかりやすいからト
- C. 担任の先生といつでも相談できるから(内容や授業・日常生活など)
- D. 調査書の内容は中3の内容を優先するから
A. 欠席日数をなるべく減らすこと大切だから
調査書に記載する欠席日数を今からでも減らすことができるからです。
休みたくなくても体調不良や気持ちの浮き沈みで学校を欠席することがあるでしょう。なので、無理なく通える期間や日は学校へ登校すると良いでしょう。
また、登校したとしても、最終下校までいるのが難しいと感じたら、早退しても構いません。
あくまでも、無理のない範囲で登校をしましょう。
B. 学校で授業を受けた方が授業内容がわかりやすいから
学校の先生は授業のプロです。何年もその教科を教えてくれる先生は誰よりもわかりやすい授業をしてくれることでしょう。
実際の授業は、一人で黙々と勉強するよりも記憶に残りやすいという結果もあるくらいです。
もしわからないことがあれば、すぐ担当教科の先生に質問することもできます。先生は生徒から質問を受けることは案外嬉しいものです。ましてや、今まで不登校で学校へ来れていなかった子が質問をしてくれるなんて嬉しいものでしょう。
ただ、時間帯には注意しましょう。生徒が下校するまでは仕事が忙しいケースがあります。なるべく放課後に声をかけに行きましょう。
C. 担任の先生といつでも相談できるから(進路内容や授業・日常生活など)
Bと似ていますが、先生はいつでも生徒の味方で相談にのってくれる存在です。学校へ登校していればいつでも先生に会えるので些細な相談ができます。
進路に関することから、授業内容について。また、学校生活を送る中で不安なことやトラブルがあれば、すぐ話をすることができます。
特に、担任の先生は不登校の生徒を大変気にかけています。先生側からどんどん声をかけてくれる場合もありますが、そうじゃない場合もあります。
相談するのが難しいと思ったら、まずは何気ない趣味の話や、出来事について話してみると良いかもしれません。
D. 調査書の内容は中3の成績を優先するから
調査書の内容は中3の成績を優先するのをご存じですか?
多くの都道府県が中3の1or2学期の内申点を調査書に記入します。秘密の情報ではないので、担任の先生や自分の地域では調査書はどの期間の成績を優先しているのか聞いてみると良いでしょう。
ただし、出欠席や中学校での特別な活動内容(英検準2級取得など・インターハイ出場)などは3年間分を記入している場合が多いので注意しましょう。
調査書が中3の成績を載せるのがわかったということは、今まで不登校だった生徒も無理のない範囲で中3からは登校したほうが良いということになりますね。
都道府県によって調査書点算出の方法が違う
調査書点(内申点)は都道府県によって出し方が違うことを覚えておきましょう。
東京都の場合、調査書点(内申点)は3年2学期の通知表の9教科を合計したものです。
となります。
例えば、5段階評価で通知表の内容が
英語 | 4 |
---|---|
数学 | 4 |
国語 | 3 |
理科 | 5 |
社会 | 5 |
体育 | 4 |
技術/家庭 | 4 |
美術 | 5 |
音楽 | 3 |
合計 | 37/45点 |
以上の評定の場合、点数は37/45点となります。
そして、この調査書点は一般受験で点数化されるので注意が必要です。調査書点は300点満点で計算され、当日の学力検査と合算します。
なので、先ほどの英語4:数学4:国語3:理科5:社会5:体育4:技/家4:美術5:音楽3=37点は
実技教科が2倍の算出で244点になります。
多くの都道府県で実技教科は2倍にするので覚えておきましょう。
②担任の先生と進路を相談する
高校受験に関しては、担任の先生に頻繁に相談しましょう。
担任の先生は高校受験に関しての情報を多く知っています。なぜなら、高校側から中学校へ入試案内書を渡しに行ったり、学校内には進路部という進路に関しての情報を調べる部があったりもするからです。
入試案内は年度ごとに変わったり、学校ごとで微妙に違うことがあります。不登校の生徒や保護者の方は進路に関して熟知できていないことが多いはずです。せっかくすぐ近くに頼れる先生がいるなら活用しないわけにはいかないです。
自分から進路資料を得ることも大事
学校の先生に相談することも大事ですが、自分から進んで進路資料を得ることも大事です。
現在は、新型コロナウイルス感染症対策のため現地での学校見学・入試相談会を見送っている場所も多々あります。その代わりにオンライン相談会や、進路資料の自宅郵送が簡単にできるようになりました。
子供だけでは資料に関してわからないことが沢山でてくると思うので、必ず保護者の方も一緒に手伝ってあげましょう。
③最低限定期テストは受ける
中3の定期テストは最低限受けるようにしましょう。
今まで不登校だった方も中3からなるべく登校をしましょうと先ほど説明しました。ですが、気持ちが上手くついてこなくて登校できないなんてこともあるかもしれません。
その場合でも、最低限定期テストは受けるようにしてください。具体的には1,2学期の中間・期末考査は受けましょう。
定期テストが評定(調査書点)に大きく関わる
定期テストの結果は通知表=調査書点に大きく関わっています。
通知表の評定は主に
- 定期テスト
- 授業態度
- 提出物
- 小テスト
を数値化し算出します。
ですが、圧倒的に評定に占める割合が高いのが定期テストの結果です。よく言われているのは”評定の70%は定期テストの結果が占める”です。
7割も占めるということは定期テストを欠席して受けることができない場合は、その分の点数は入らないということです。
定期テストが大きく関わっているのがわかったと思うので、不登校だった方も定期テストは受けるようにしましょう。
不登校生経験者の受け入れ体制が整っている高校は?
不登校で欠席が多いと高校受験に不利になる可能性があるということを前述しました。ですが、不登校で出席日数が少ない人でも受け入れ態勢が整っている高等学校はあります。
以下の4つが不登校生徒の受け入れ態勢が整っている学校になります。
- 通信制高校
- 定時制高校
- チャレンジスクール
- 私立高校
通信制高校
通信制高校は、自宅で学習、決められたレポートの提出を主としている高校です。自宅での学習だけでなく、出席が必要な日も年に何日かある学校です。
学校によってさまざまですので当該学校HPをよくチェックしましょう。通信制高校の一括資料請求サイトも最近では充実しています。気になる方は下のリンクを覗いてみましょう。
[詳細はこちら]
通信制高校は中学校、あるいはこれに準ずる学校を卒業した者、もしくは同等以上の学力がある人なら誰でも出願できます。調査書の出席日数が少ないからと言って受験に落ちることはありません。
定時制高校
定時制高校は夜間、昼間など決まった時間に登校して一般的な学校生活を過ごせる高校です。
公立、私立どちらでも定時制度をもつ高校があります。
クラス単位での活動になりますが、今まで不登校という同じ境遇の方が多いことや、先生も不登校生徒に配慮・理解がある方が多いメリットがあります。
不登校の経験がある生徒や、普段働きながら学校へ通う生徒の為にある高校です。出欠席日数に関しても配慮をしてくれるので安心して受験できるでしょう。
チャレンジスクール
チェレンジスクールは、小中で不登校経験を持つ生徒や高等学校での中途退学などで、学校に通うことができなかった生徒を支援するための総合学科の学校です。
午前部・午後部・夜間部の3部制の高校で単位制です。総合学科なので「情報デザイン」「生活福祉」「人間環境」などの学校によって専門的内容も学習します。通常4年間で卒業なのもほかの学校とは違うところです。
不登校生徒のための学校といっても過言ではないので、出欠席は関係ないと言えるでしょう。
私立高校
私立高校は通常、内申点などを加味して試験の合否を決めることが多いですが、学校によっては受験当日の点数を重視している高校もあります。
先ほど述べたように、各私立学校によって出欠席日数の基準が違うので、必ず事前に調べておくことが必要になります。
どうしても出席日数が足りない場合はどのような処理が行われるのか?
出席日数が足りないけど、どうしてもその学校に受験したい場合は「自己申告書・事情説明書」を書いてもらうことになります。呼び名は都道府県によって様々ですのでお気をつけください。
自己申告書とは欠席日数が多い生徒に対して、なぜ欠席が多いのかについての理由を記載したものです。このような制度は不登校の理由が多種多様だからです。
生徒によっては健康上の理由から、学校へ登校したくてもできないケースも考えられます。なので理由を記載した書類を提出することで特別な配慮という形で受験ができる場合があります。
自己申告書はどの都道府県でも用意されています。教育委員会の受付サービスに連絡したり、担任の先生に相談してみましょう。
担任の先生から家庭の方に周知をしてくれない可能性もありますので、必ず自ら調べて行動しましょう。
【まとめ】中学不登校生がこれからすべきこと
中学校生活を不登校ですごしてしまうと進路によっては不利になるケースもあります。ですが、出席日数の上限がきまっていたり、学校によっては関係ない場所もあります。
なのでこれからすべきことを着実に行うことが肝心です。
中3の時期は無理のない範囲でなるべく学校に通うことを意識しましょう。学校に通うと成績面で良い影響が出たり、授業もわかりやすいメリットがあります。
また、担任の先生と進路を相談することができます。
中3の定期テストは最低限受けるようにしましょう。定期テストは大きく調査書点に関わるからです。
不登校生徒に配慮をした学校もいくつかあります。通信制・定時制高校やチャレンジスクールなどがいい例です。私立高校も場所によって受け入れ体制がある場所もあります。
以上のことを頭に入れながら、自分の望む進路を決めていきましょう。