通信制高校の基礎知識

通信制高校の卒業率は?中退する理由には何がある?

「通信制高校に入った後、きちんと卒業できるのか心配」という方もいらっしゃるかと思いますが、通信制高校の卒業率は9割を超えます。不登校経験者や勉強が苦手な生徒が多く集まる状況の中、高い卒業率を維持していると言えるでしょう。

逆に卒業できなかった生徒の理由としては、もともと学校生活に熱意がないという理由もありましたが、就職や転校、病気やケガ、また家庭の事情など、生徒自身の問題でない理由が上位を占めています。つまり、「勉強についていけなくてやめる」「人間関係がうまくいかなくてやめる」「出席日数が足りなくてやめる」といったケースは少ないということです。

この記事では通信制高校の卒業率と、中途退学の理由、そして卒業までに満たす要件についてお伝えします。

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通信制高校の卒業率は9割を超える

気になる通信制高校の卒業率ですが、9割を超える数字となっています。

  • 通信制公立高校:93.3%
  • 通信制私立高校:95.2%

参考:平成28年度文部科学省資料

これは全日制高校と比べてもほぼ同等です。中学での不登校経験者や勉強が苦手な人も比較的多く通っていますが、そのような状況の中でも高い卒業率を維持していると考えていいでしょう。

逆に中途退学者は全体の5%前後といったところです。

ちなみに、定時制高校の卒業率は通信制・全日制と比べると少し少なくなっており、7割程度となっています。

通信制高校を卒業できなかった人の主な理由は?

ここからは中途退学をした生徒の理由です。文部科学省が発表しているデータは以下のようになっています(割合が高い順に記載)。

  • 就職を希望:8.7%
  • 別の高校への入学を希望:8.4%
  • 病気・けが・死亡:6.4%
  • もともと高校生活に熱意がない:6.0%
  • 家庭の事情:5.3%
  • 学業不振:4.8%
  • 授業に興味がない:3.1%
  • 高卒程度認定試験受験を希望:2.3%
  • 人間関係がうまく保てない:1.8%
  • 学校の雰囲気が合わない:1.7%
  • 問題行動等:1.5%
  • 専修・各種学校への入学を希望:0.6%
  • その他:28.8%

参考:平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について

このデータから読み取る限り、成績不振や不登校が原因ではなく、在学中に就職を希望する場合や、転校を理由とする場合が上位を占めています。つまり、勉強についていけない、人間関係がうまくいかない、出席日数が足りないという、いわゆる中学で不登校になる原因で中途退学になるケースは少ないと読み解けるでしょう。

通信制高校を卒業するための条件は?

通信制高校を卒業するための条件は以下の3つです。

  • 3年以上の在籍
  • 74単位以上の取得
  • 3年間で30単位以上の特別活動

3年以上の在籍

通信制高校は単位制をとっているので、必要な単位数(74単位+特別活動30単位)を取得できれば卒業できます。しかし、3年以上は必ず在籍しなければなりません。仮に2年間で必要な単位数を取得したとしても卒業は認められないのです。逆に、3年間ですべての単位を取得する必要もありません。概ね3〜4年で単位取得して卒業するケースが多いです。

74単位以上の取得

通信制高校を卒業を卒業するには、74単位の取得が条件となります。1つの授業が何単位かはそれぞれバラバラで、授業の頻度によって1〜8単位まであります。頻度が多い授業は単位数も多く、少ない需要は単位数も小さいです。(参考:平成30年改訂 高等学校学習指導要領 各学科に共通する教科・科目等及び標準単位数
通信制高校は単位制なので、どの授業を受けるかは自分の好きなようにカスタマイズすることができます。ただし、国数社理英の5教科や、保健体育・芸術・家庭・情報などの中に「必須科目」があるので、それは卒業までの間に必ず履修しなければなりません。

3年間で30単位以上の特別活動

3年間で30単位以上(1時間単位=50分)の特別活動に出席することも卒業条件のひとつです。
特別活動とは、ホームルームや学校行事(文化祭やボランティア活動等の体験学習など)、生徒会活動などを指します。通信制高校の中には一定のスクーリングが定められている学校もありますから、その中でホームルームや学校行事などに参加すれば問題なくクリアできるでしょう。
しかし、通信制高校は自学自習が基本となるため、自宅での学習をメインに取り組んでいる生徒もいます。そうした実情に対応するため、特別活動の時間が一部免除される場合もあります。

メディア教材(インターネット・DVD・ラジオ・テレビなど)を利用し、かつ成果が満足できると認められた場合に限り、その生徒について、その各教科・科目の面接指導の時間数又は特別活動の時間数のうち、各メディアごとにそれぞれ10分の6以内の時間数を免除されます。ただし、免除する時間数は、合わせて10分の8を超えることができません(出典:文部科学省)。

まとめ

まとめ
  • 通信制高校の卒業率は9割を超える。不登校経験者や勉強が苦手な生徒が多く集まるという特徴を加味すると、高い卒業率を維持している。
  • 中途退学者の理由は、就職や転校・病気・家庭の事情などが上位を占めており、逆に勉強についていけない、人間関係がうまくいかないなどの理由は少ない方である。
  • 通信制高校の卒業要件は「3年以上の在籍」「72単位以上の取得」「30単位以上の特別活動」である。

現在不登校や勉強に苦手意識を持っている生徒で、「通信制高校に入学してもちゃんと卒業できるか心配」という生徒もいるかと思いますが、現在悩んでいることで通信制高校を中途退学になるケースは少ない部類です。通信制高校は勉強が苦手な生徒、コミュニケーションが不得意な生徒、発達障害を抱えている生徒が多く入学してくる背景上、それらに対する受入れ態勢も割と充実しています。各校にカウンセラーの設置、また担任の先生も知識と理解のあるケースが多いです。抱えているハンディキャップから卒業できるか心配になる気持ちもわかりますが、その辺は安心して入学していただければと思います。

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