通信制高校ってどんな学校?
生徒の個性や主体性を大切にする学校
通信制高校とは、「生徒の個性や主体性を大切にしている学校」と言えるでしょう。中学や高校で不登校になってしまった生徒、勉強についていけなかった生徒、発達障害を抱えた生徒、経済的に厳しい家庭の生徒、そんな生徒も通信制高校には多いです。そのような人たちでも「安心して通えるような環境づくり」を、先生や職員の方々が一生懸命行なっています。
スクーリングは毎日行う必要はなく、学習は自分のペースで進められます。そして服装や髪型も基本自由です。学校が何かを押し付けるわけでなく、生徒ひとりひとりの個性を伸ばすような教育を施しているのが通信制高校の特徴と言えるでしょう。
学年制ではなく単位制
仕組みの面で言えば、通信制高校は「学年制」ではなく「単位制」となっています。1年のうちに取得する単位は基本的に自由。もし1年のうちに取得できた単位が少なくても、全日制高校のように留年はしません。自分のペースでコツコツ学習をすすめ4〜5年かけて卒業してもいいのです。
(関連記事):通信制高校の「単位制」とは?学年制との違いは?
学習は自学自習とレポート提出がメイン
学習は自学自習のレポート提出がメインとなり、単位取得テストに合格すれば単位を取得できます。最近はプリント学習だけでなく、スマホやタブレット、パソコンを活用したネット学習もどんどん取り入れられています。
学校行事や部活動だって楽しめる!
通信制高校では部活動や学校行事を行なっていないとイメージするかもしれませんが、そんなことはありません。部活動が盛んな学校もありますし、学校祭や修学旅行を行なっている学校もあります。近年は甲子園に出場した通信制高校、海外に修学旅行を行なっている学校もあります。
「通信制高校に行くと、味気ない学校生活になるのでは」と勘違いする方もいらっしゃいますが、通信制高校でもイベントは盛りだくさんです。もちろん、無理に出席する必要はありません。参加が自由である点も通信制高校の良さです。
通信制高校に通うメリットは?
通信制高校に通うメリットは、次の3つがあります。
- 自分のペースで学習できる
- 自分に興味のある分野を学べる
- 年間のスクーリングが少なく、自分の時間を確保できる
自分のペースで学習できる
通信制高校は自学自習が中心となるため、周囲のペースを気にせず自分のペースで学習を進められます。
教室での集団授業は、わからない生徒がいてもどんどん先に進んでしまいます。これが生徒が勉強につまづく原因のひとつです。
一方、通信制高校は自学自習が基本なので、わからない点が出てきてもじっくりと時間をかけて考えられます。もちろん、一人で解けない時は先生に質問できますし、その時は親切に教えてもらえます。
自分に興味のある分野を学べる
通信制高校の中には、普通教科以外の様々な学習カリキュラムを用意している学校が多数あります。例えば、音楽、ファッション、美容、ネイル、調理、パティシエ、イラスト、アニメ、声優、機械学習、プログラミング、自動車、ダンス、スポーツなどなど本当に様々です。
普通教科の勉強は苦手だったけど、自分の興味のある分野を高校生のうちから勉強して就職に役立てたい、そんな希望を持った生徒にもぴったりな学校です。
年間のスクーリングが少なく、自分の時間を確保できる
通信制高校は全日制と違って、毎日のスクーリングが必要ありません。週1日だけ通うコース、種3日通うコース、年に5日程度集中して通うコースなど、そのスタイルは様々です。
例えば体調面で毎日学校に通うのが難しい方でも自分のペースで高校生活を送れます。また、現在何かに打ち込んでいて自分の時間を確保したい人、仕事と両立しながら通いたい人にも合っている学校と言えるでしょう。
(関連記事)通信制高校に通うメリット・デメリットは?
通信制高校の学費はどれぐらいかかる?
通信制高校の学費は、他の学校と比べると比較的安いのが特徴です。
通信制高校 | 全日制高校 | 定時制高校 | |
---|---|---|---|
初年度納入額 | 公立:5万円程度 私立:25万円〜 |
公立:25万円〜 私立:75万円〜 |
公立:7万円程度 私立:50万円〜 |
また、就学支援金制度や、奨学金などを利用することでさらに学費を抑えられます。
入試では学力試験は原則行われない
通信制高校の入試では、原則学力試験は行われません(ただし、大学進学コースなどの場合は基礎学力検定などが行われる場合があります)。
入試科目は一般的に書類選考と、面接や作文です。学力試験がないからこそ、これまで勉強が苦手だった生徒でもチャレンジしやすい学校となっています。
しかしながら、学習レベルが必ずしも低いわけではなく、学校の中には大学進学コースを設け、大学受験に向けたハイレベルな学習を行なっている学校もあります。通信制高校に入学したいけど、大学進学も目指したい。そんな生徒は大学進学コースを設けている学校を選ぶのが良いでしょう。実際に、国公立大学や難関私立大学への合格実績がある学校もたくさんあります。
通信制高校にはどんな人が通っている?
通信制高校には様々な事情を抱えた生徒が通っています。
- 経済的事情から通信制高校を選んだ人
- 不登校やいじめ経験者
- 高校中退後に再チャレンジをしている生徒
- 発達障害など事情を抱えた生徒
- 芸能活動など、学校外での活動を行なっている生徒
学校としても様々な事情を抱えているということは理解しており、例えば心のケアを行うためにスクールカウンセラーを配備するなど様々な工夫を行なっています。不登校の経験がある人、発達障害を抱えた人でも安心して通える学校作りが、現在の通信制高校ではスタンダードになっています。
(関連記事)通信制高校に通っている生徒の特徴は?どんな人がいる?
【入学のタイミング】年度途中からの転入・編入も可能
通信制高校への途中入学、いわゆる転入・編入できる時期は柔軟に設定されています。
他の学校からの転校(転入)については随時入学を受け付けている学校がほとんどで、高校を中退した人の入り直し(転入)については10月など途中入学を認めている学校や、中には転入についても随時受け入れている学校もあります。
転入・編入についても基本的には学力試験は行われません。なので、前の学校で勉強についていけなくなった生徒もチャレンジしやすいので安心です。
また、前の学校で取得した単位は引き継いで入学できることもポイントのひとつ。例えば2年生の途中で中退してしまった生徒なら、1年生で取得した単位は編入先にも引き継がれます。
転入・編入のポイントについては以下記事にまとめてありますので、これから転入・編入をお考えの生徒や保護者はよろしければご覧ください。↓↓
(関連記事)【通信制高校への転入・編入をお考えの方へ】入学の条件・単位引き継ぎについて
通信制高校の公立と私立の違い
通信制高校の公立と私立の違いは、大きく言えば「学費」「学習カリキュラム」「フォローアップ体制」の3つです。
公立の通信制高校の最大の特徴は学費が安いこと。年間5万円程度で通うことができます。一方私立の強みは豊富な学習カリキュラムと手厚いフォローアップ体制です。公立の場合は普通教科しか学べないことがほとんどですが、私立の場合は音楽・ファッション・美容・プログラミング、、、などなど、普通教科以外の専門的な学習ができます。これは就職でも役立ち、中には在学中から資格取得を目指せる学校もあるほど。
また私立の場合は心のケアにも十分な配慮を行き届かせており、スクールカウンセラーや相談室を設けるなど、生徒が安心して通える学校作りが進んでいます。
ちなみに、私立通信制高校の場合も就学支援金制度を使うことで、さらに安く学費を抑える方法もあります。
私立 | 公立 | |
---|---|---|
学費 | ○ 25万円〜(1年あたり) ※公立全日制と変わらない学費の学校もある |
◎ 5万円程度(1年あたり) |
指導・フォロー | ◎ ひとりひとりの事情に合わせたきめ細やかな対応が期待できる | △ 先生の数が限られ、私立よりはどうしても劣りがち |
専門的な学習 | ◎ 学校により様々なカリキュラムが用意されている(アニメ・イラスト・音楽・スポーツ・芸能など) | △ 目立った特色はない |
スクーリング | ○ 柔軟に計画できる | △ 年間予定が組まれている |
設備・環境 | ○ 充実した学校もある | △ 目立った特色はない |
受け入れ時期 | ◎ 年に4回(4月、7月、10月、1月) ※随時受け入れている高校もあり。 |
△ 年に1回(4月) |
卒業率 | ○ 比較的高い(100%に近い学校もある) | × 私立よりもかなり低い(約40%程度) |
(関連記事)通信制高校の「公立」と「私立」の違いは?学費はどれだけ違う?
通信制高校に関するよくある疑問を解決
- 通信制高校とフリースクールは何が違うのですか?
- 通信制高校は、学校教育法で定められたれっきとした「高等学校」なのに対し、フリースクールはあくまで民間やNPOが運営する教育施設です。大きな違いは、通信制高校は卒業すると高卒資格を得られるのに対し、フリースクールでは高卒資格は取得できません。
(関連記事)フリースクールとは?通信制高校との違いは?
- 通信制高校の「サポート校」「技能連携校」とは何ですか?
- 通信制高校での学習を補佐、またはより専門的学習をする場となるのがサポート校や技能連携校です。サポート校では、主に生徒の学習スケジュールの管理、またわからない点を教えてくれます。中には大学進学を目指すために、ハイレベルな指導を行うサポート校も。生徒の精神面や心のケアなどを行うサポート校もあります。技能連携校は、普通科目とは違った専門的学習ができる学校です。例えば、調理や美容、自動車関連の技能連携校などがあります。スクーリングが必要ない日に通学する、いわばWスクールのようなイメージです。通信制高校の学費とは別途学費がかかります。
- 通学型の通信制高校があるって本当ですか?
- はい。通信制高校の全部がスクーリング回数が少ないわけでなく、コースによって週1日〜5日通学するコースもあります。定期的に通学を行うことで、規則正しい生活が遅れること、仲間との交流を深められること、などのメリットがあります。自分にとって無理のないペースで通学してみるのもいいかもしれません。
- 通信制高校の卒業率はどれぐらいですか?
- 通信制高校の卒業率は、9割を超えます(参考:平成28年文部科学省資料)。不登校経験者や勉強が苦手な生徒が多く集まる状況の中、高い卒業率を維持していると言えるでしょう。中途退学してしまう理由としては、就職を希望したり、別の高校への入学を希望するものが多く、勉強についていけないという理由はそれよりも低い数字となっています。勉強についていけない、人間関係がうまくいかない、出席日数が足りないという、いわゆる中学で不登校になる原因で中途退学になるケースは少ないと考えられるでしょう。
- 通信制高校でも友達はできますか?
- 通信制高校のコースによっては、1週間に数回スクーリングを行うコースもあります。スクーリングの多いコースを選べば、友達が作れる機会も増えます。授業、休み時間、学校での自習、学校行事、部活動の時間は友達作りのきっかけとなるでしょう。
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